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■AOI-BIN CURRY■

無垢の棚にギッシリと積まれたレコード。

DIATONEのスピーカーから奏でられる、オールド・ジャズの名奏に、客席と目線が合うように設計された掘り込みキッチン。

萩原珈琲の淹れ立てのコーヒーは外まで香り、ビターテイストなウォルナットが強調された店内と混ざり合っていた。

父のカレー

1982年、宝塚「逆瀬川」の閑静な住宅街に、そのお店はオープンしました。

「カレー&ピラフ 青いびん」

いまから320年ほど前の、中央ヨーロッパ初のコーヒーハウス「ブルーボトル」が店名の由来です。

大阪で長らく仕事をしていた父の楽しみは食べ歩き。各所のカレーを嗜み

目指した有名店のカレーを忠実に再現しオリジナルを加えた自慢の欧風カレーを、大好きなジャズと一緒に楽しんでもらいたい、そんな思いで「青いびん」は開業したのでした。

飴色を通り越すまで、しっかりと炒めた玉ねぎ、鶏ガラを使って一から取り出したスープ、大きめにカットされたステーキ肉、隠し味はお気に入りの萩原珈琲を・・・

​深いコクと牛の旨みの中に、ほんのりビターでスパイシーな香りが溶け込み、程よい辛さがより、味覚を刺激する、そんなカレーだったと聞いています。

私のカレー

時は過ぎ、2016年。息子である私は、神戸市北区で飲食店を開業しました。父の思い入れとは違い、私は「一から全てオリジナル」のスパイスカレーを出しました。スパイスを一から調合し、私自身のこだわりを全て注ぎ込んだ「癖の強い」スパイスカレーはあまり評価を得られず、2年後には主力をハンバーガーに置き換え、こだわりのスパイスカレーは徐々に衰退していきました。

2022年、コロナも落ち着きを見せ始めた頃、バーガーの仕込みで余った肉を使って、オーソドックスなカレーを作り常連のお客さんにお出しした所、意外にも高評価で私も嬉しくなり、幼い頃の記憶と母の意見を頼りに、もう一度あの頃のカレー「青いびんのカレー」を再現すべく試作を重ね、ようやく形になったのが、「AOI-BIN CURRY」です。

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ジャズの流れる店内で
食べたあの頃の
ゴロゴロ肉の入った
しっかり辛めの
​喫茶店カレー